本堂ってどこ?
初めて訪ねてこられた方の多くが、ここがお寺なのか? 本堂はどこにあるのか?と戸惑います。
設計はSUPER-OS(吉村靖孝+吉村真代+吉村英孝)さんです。吉村兄弟と大久保兄弟が高校の同級生で、部活もバスケ部で一緒というご縁で依頼したところ、快く引き受けてくださいました。
キーワードはアンコール・ワット?
- どこにでもあるような本堂ではなく、何か新しい形を作りたい
- 宗教施設であるため、ただ見たこともないようなものであればよいという訳ではない
- 来た人が仏さまを感じられるような、心が清められ穏やかになって救われていくような、そういう印象を与えられる本堂にしたい
- 以前からあるものはこれまで西光寺にご縁があった方々の思いが詰まっており、それらは出来るだけ残したい
など、他にもいろいろと制約が多い中、思いもよらないようなデザインの本堂を設計してくださいました。話し合いの中で、「アンコール・ワットみたいなイメージはどうかな」と言った事がこのような形になるとは!
外壁はコールテン鋼
塗装してあるものではなく、裸仕様のコールテン鋼という鉄板です。コールテン鋼が錆びていくことにより風合いがどんどん変わり、またその錆自体が保護膜となり、建物を守るそうです。新築から数年は錆がボロボロと付いては落ちてきて・・・と大変でしたが、15年以上経った今では壁を触っても錆が手に付かなくなり、色も落ち着いてきました。新築当初は「何ですか、これは?」という反応が多かったですが、最近では初めての方でもあまり驚かれません。こちらとしてはびっくりしてくれたほうが面白いのですが、これは、時が経ってこの建物が”西光寺の本堂”としてこの空間に馴染んだということなんだなあと思っています。
上の2枚は築3年ぐらいです。まだ色が明るいです。
3、4枚目は築15年頃ですが、まだ少し品番が見えます。
5枚目は雨に濡れた後です。光の当たり具合などで様々な表情を見せてくれます。
グッドデザイン賞
設計者の吉村英孝さんが2007年度グッドデザイン賞を受賞されました。
グッドデザイン賞のページはこちら
本堂改修 ~お浄土を感じたい~
平成29年に本堂内部を改修しました。当初はいろいろな使い方が出来るようにお内陣をステージに変更できる仕様に作ってもらいましたが、やはり本堂は”阿弥陀さまがおられる世界”として、”お内陣は阿弥陀さまのお浄土”として、お参りに来られた方がそういう感覚を感じられる場所にしたいということで、設計者の吉村英孝さんにお願いしました。
もともと明るい本堂でしたが、すこしクールな感じがありました。改修によって窓から入ってくる光の雰囲気が変わり、お浄土の光に包まれているような、明るさの中に温かみが感じられるようになりました。『仏説無量寿経』に阿弥陀さまの光明のお徳を12種類の光で称讃してあり、親鸞聖人も『正信偈』の中でおっしゃっておられますが、
- 無量光。量ることのできない光。
- 無辺光。際限のない光。
- 無碍光。なにものにもさえぎられることのない光。
- 無対光。くらべるもののない光。
- 炎王光。最高の輝きをもつ光。
- 清浄光。衆生のむさぼりを除くきよらかな光。
- 歓喜光。衆生のいかりを除きよろこびを与える光。
- 智慧光。衆生のまどいを除き智慧を与える光。
- 不断光。常に照らす光。
- 難思光。おもいはかることができない光。
- 無称光。説きつくすことができず、言葉もおよばない光。
- 超日月光。日月に超えすぐれた光。 『浄土真宗聖典(注釈版)PP.1503-1504』
というような清らかなお浄土の光です。
決して広い本堂ではありませんが、従来の本堂とは全く違った形で”阿弥陀さまの光あふれるお浄土”を感じていただけると思います。晴れた日であれば、太陽の動きによって光の入り方が異なり、雰囲気も変わります。
ぜひ本堂にお参りください。ただ、本堂は平時は施錠しており、法要等で使用中の場合もありますので、お越しになる時は事前にお電話でご連絡くださいますようお願いいたします。
朝日新聞に掲載され、本にも載せていただきました
2023年10月31日の朝日新聞(夕刊)全国版に西光寺の本堂の記事を掲載していただきました。「建モノがたり」というコラムです。
メインは「本堂」という建築物ですが、建設にあたっての思いや経緯から、現在における「お寺の本堂」としての役割なども丁寧に取材していただきました。
ありがとうございました。
どなたでも是非お参りください。
記事に関しては、朝日新聞社に無断で転載することは禁止されています。承諾番号23-3051
(2024/11/1追記)
記事の二次利用期限が過ぎましたので、記事の画像を削除しました。
記事はこちらでご覧いただけます。
https://www.asahi-mullion.com/column/article/tatemono/5819
2024年10月5日に発売された、
朝日新聞メディアプロダクション編著 『建モノがたり』 辰巳出版
にも掲載していただきました。ありがたいことです。
ぜひご覧ください。
昔の本堂
昭和52年までの本堂です。村の古い人にとっては、昔はよくここで遊んだなあという思い出の場所でしたが、伊勢湾台風により大きな被害を受け、老朽化がひどく建て替えました。
平成16年までの本堂です。現在は集会場として使ったり、寺カフェではみんなでゲームをしたりと、西光寺に来られる方の憩いの空間となっています。南側の縁側に座ると中庭が目の前に広がり、ゆったりと過ごせます。特に冬場はポカポカと暖かく、暖房がいらないほどです。